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新年・東京(13)まさかの展開から

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昼食後、通り道にあるので富士フイルムフォトサロンに立ち寄る。山岳写真展の他に、「入江泰吉作品展 心の原風景奈良大和路」をやっており、どこかで見たことのあるような写真ではあるが、急ぎ眺める。



会場を出ると、新年らしく「舞玉酉」というオブジェが展示してあった。



続いて、国立新美術館だ。

…し、しかしだ。1月10日まで年末年始休館のようなのである…。うーむ、「DOMANI・明日展」を見ようかと思っていたのだが。

気を取り直して国立新美術館を越えて、乃木坂から表参道に向かう。当初の予定には入っていなかったのだが、根津美術館で興福寺の梵天・帝釈天像の公開が今日から始まるのである(昨日チラシを見て気が付いた)。

■根津美術館「再会-興福寺の梵天・帝釈天」。実はこれ、かなり驚くべき展示なのである。明治維新頃の神仏分離・廃仏毀釈により、興福寺から帝釈天が流出し、それが根津美術館所蔵になったとのこと。そして同じ場所で梵天・帝釈天が展示されるのが112年ぶりなのである。現在の日本には112歳以上の方もいるようなので、この方が見た可能性はあるが(いや、無いか)、おそらくはこのお二人を一緒に見るのは誰にとっても初めてとなるのだろう。

「梵天立像」:現在も興福寺蔵なのはこちら。結構、がっしりした体格に見える。重文。
「帝釈天立像」:一部破損があり、その修復を行ったためだろうか、こちらは1年早く作られているにもかかわらず、重文ではない。とはいえ、まさにペアとしてふさわしいお姿であり、近くで見るよりは狭い展示室ながらやや離れて、お二人を両方を同時に見るのが良いのではないかと思う。

■根津美術館「染付誕生400年」。あまり興味がなかったが、こちらも実は面白い展覧会であった。
「瑠璃釉雲文皿」:全面に薄青の染付がされており、優雅な作品。
「青磁染付魚藻文花形三足皿」:躍動感と遊びが感じられる作品。
「染付波文扇形皿」:扇形の皿の下半分に波の文様がつけられている、デザイン要素の強い作品。下部が海、上部は空と思えば当たり前か。

「色絵寿字文独楽形鉢」:ありったけのにぎやかな文を配した作品。
「色絵龍文瓶」:ここまでにぎやかになると、正月か婚礼でしか使う場面がないのではないか。
「色絵牡丹花瓶文皿」:直径54センチの巨大皿。これを使うとなると、尾頭付きの鯛でも置くしかないのでは。

「染付日本地図文長方皿」:日本全国の藩が描かれた皿。松前とエゾ地が分離しているように見えたり、能登半島の上に「小人国」、日本の南海上に「女護国」があったりして、細かいところがちょっとあやしい。
「色絵花唐草文変形皿」:黒地に緑の葉という、珍しい色彩感覚の作品。
「青磁染付大根文皿」:大胆な大根の絵付けがいい。
「青磁巻雲文皿」:ふちに「の」の字の巻雲が描かれていて、可愛らしい作品。

この他、2階展示室では新春らしい、伝狩野山楽「百椿図」が展示されていた。



ここから「歩いていけるのでは?」とふと思いつき、予定になかった山種美術館に向かう。

■山種美術館「日本画の教科書 京都編」。これ、結果的に正解だった。
竹内栖鳳「班猫」:とっくに見た気になっていたが、テレビでのことだったらしく、本物を見るのは初めてらしい。予想外に大きめの猫だ。
村上華岳「裸婦図」:こちらも見たような気がしていたが、初見だった。新春特別で出してくるねえ~。
山元春挙「火口の水」:一人大自然に分けるような思いがしてくる作品。
福田平八郎「牡丹」:圧倒的なボリュームの大作でありながら、繊細にして幻想的な牡丹。これは素晴らしい。

なお、一点だけ写真撮影ができる作品があった。最近の東京の展覧会は、写真撮影に対してかなり前向きなところが多いね。「写真撮影に関するお願い」という紙の通り、出所を明らかにしておきたいと思う。

山種美術館「日本画の教科書 京都編」 上村松園「牡丹雪」。

 

表参道から大手町に移動する。そろそろ力尽きてきた。

■宮内庁三の丸尚蔵館「寿ぎの品々を読み解く」。
山田宗美「瓦片鳩」:1枚の鉄板を打ち延ばして、瓦に止まる鳩を表現した作品。
「金鳥玉兎図花瓶」:杵をつくウサギと、三本足のカラスを朱で描いた、ど派手な花瓶。
「霊芝置物」:岩に生えたキノコを形作った作品。これ、木彫かな?

やはりどこの展覧会よりも海外からの観覧者が多いようである。

 

歩いて東京駅の南側へ。

■インターメディアテク「医家の風貌」。
基本的な博物館としての展示内容は変わらないが、特別展示「医家の風貌」というのをやっていた。医者の肖像画、写真、肖像彫刻コレクションだが、アートサイドから見ても黒田清輝、和田英作の作品があったので、興味深いと言えるかもしれない。



これで2日間、12展覧会の鑑賞は終了。さすがに疲れた。

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