朝食後、美術館の開館に向けて時間を調整し、9時過ぎに出発する。いよいよ滞在最終日だ。
今日の一か所目はBunkamuraミュージアムである。久しぶりの渋谷なので、しばらく迷って、何とか10時前に入場の列に並ぶ。そうだなあ、行列には40人くらいはいるだろうか。
■Bunkamuraミュージアム「ルドルフ2世の驚異の世界展」。
ルーカス・ファン・ファルケンボルフ「皇帝ルドルフ2世」:なかなか立派な姿。皇帝の肖像だから当たり前か。
作者不詳「泰西王侯騎馬図(複製)」:もとは江戸時代の作品で、鶴ヶ城にあったものらしい。ローマ皇帝として描かれているのがルドルフ2世らしく、なかなかクールな美男子として描かれている。
作者不詳「バベルの塔」:ちょっと細身のバベルである。
ルーカス・ファン・ファルケンボルフ「バベルの塔の建設」:これは色彩といい、塔の形といいブリューゲルのバベルに極めて近い。サイズはかなり小さいが、精密に描かれている。
ルーラント・サーフェリー「村の略奪」:これもブリューゲルの「嬰児虐殺」によく似た作品。
ヨーハン・ガブリエル・ドッペルマイヤー「最新天文図帳」:ティコ・ブラーエの新星も描かれている天文図。まあ、新星は170年位前に発見されたのだから当たり前か。
ヨハネス・ケプラー「『ルドルフ表』付属の世界地図(複製)」:日本もかろうじて本州と九州? の2島が見える。また、伊豆半島ははっきりと形が見て取れる。
ガリレオ・ガリレイ「天文対話」:これ、印刷とは言え本物だよね。地動説に基づいた太陽系の図が描かれており、木星のガリレオ衛星も見える。
ヤン・ブリューゲル(父)「陶製の花瓶に生けられた小さな花束」:花尽くしで描かれており、コレクターごころを分かっている。
ヤーコプ・フーフナーヘル「花瓶と果物、昆虫」:実に細やかなあたりが、マニア心をくすぐる。
ジュゼッペ・アルチンボルド「ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像」:類似の作品を見ると、いかにアルチンボルドの技巧が素晴らしいかが良く分かる。それにしても、ポスターでメインだったこの1点しかアルチンボルドはないんだね。
アタナシウス・キルヒャー「ノアの箱舟」:箱舟の船室図とその内部にいる動物が描かれている。犬なんかは何種類もいて、さすがに種族で2頭では、犬のバリエーションに説明がつかないと思ったのだろう。
ヤン・ブリューゲル(子)、ヘンドリック・ファン・バーレン「大地と水の寓意」:農作物、海産物が何でもある。メロン、アーティチョークなどの当時の高級輸入品から、バブルを起こしたチューリップまで多彩。
ハンス・フォン・アーヘン「パリスの審判」:さすがに名場面を美しく、うまく描いた作品。
バルトロメウス・スプランガー作のコピー「オリュンポスへと芸術を導く名声」:これはエル・グレコっぽい。
ヨーゼフ・ハインツ(父)「羊飼いの礼拝」:聖母と天使の柔らかい表現から、この画家が相当なテクニシャンであることが分かる。
ぺーテル・ステーフェンス2世「聖アントニウスの誘惑」:小さな化け物大集合で、ヒエロニムス・ボスっぽい。
参考出品「ナトゥラリア(自然物)」:当然、絵画以外にも収集品はあり、これは動物の骨、ダチョウの卵、サンゴ、イッカクの角、亀の甲羅(1m以上ある)など。
フィリップ・ハース「春」「夏」「秋」「冬」:アルチンボルドの画に基づくもの。
↓
フィリップ・ハース「コロッサス:巨像」。
↓
作品を見ながら、「〇〇っぽい画風」という感想が多かったのだが、これはおそらく偉い人に「アルチンボルド風に」とか「ボス風ね」と言われたのだろうという気がする。そりゃ、人気のある画風をまねたりするよね。また、これも当然の事だろうが、絵画以外にも工芸品、地図・星図や自然由来のものなど、幅広いコレクションがあり、皇帝の見識の広さを感じた。
さて、展覧会そのものの方だが、最初は混雑しているのかなと思ったが、入ってみると入場時の列が嘘のように快適に見ることができた。これは人数だけの問題ではないような気がする。
私が美術館で展示物を見ていて、一番流れが合わないのはオバチャンである。オバチャンは必ず複数人でやってきて、解説の文字を懇切丁寧に読み、画そのものにはそんなに興味がない。しかし、グループでつまらない感想を述べながら、一番遅い人間に合わせて移動するので、果てしなく遅い。ノロノロしている隙に、前に割り込みされたりして、もうどうしようもない(←偏見があるのは認めます)。
しかしこの展覧会、ルドルフ2世のマッチョな感じのせいか、マニアックな雰囲気のせいか、女性観覧者が非常に少ないのである。一番多いのは、私と相性の良い、男性1人客である。そのためか、人数以上に流れが私の期待にマッチしていたかもしれない。最近では最もストレスなく見ることのできた展覧会であった。
会場を出たところ、Bunkamuraギャラリーで「バーニー・フュークス展」をやっていたので、そちらもちらっと拝見。先日「美の巨人たち」で紹介されていたので、そのビデオ映像も流れていた。タイムリーだな。
今日の一か所目はBunkamuraミュージアムである。久しぶりの渋谷なので、しばらく迷って、何とか10時前に入場の列に並ぶ。そうだなあ、行列には40人くらいはいるだろうか。
■Bunkamuraミュージアム「ルドルフ2世の驚異の世界展」。
ルーカス・ファン・ファルケンボルフ「皇帝ルドルフ2世」:なかなか立派な姿。皇帝の肖像だから当たり前か。
作者不詳「泰西王侯騎馬図(複製)」:もとは江戸時代の作品で、鶴ヶ城にあったものらしい。ローマ皇帝として描かれているのがルドルフ2世らしく、なかなかクールな美男子として描かれている。
作者不詳「バベルの塔」:ちょっと細身のバベルである。
ルーカス・ファン・ファルケンボルフ「バベルの塔の建設」:これは色彩といい、塔の形といいブリューゲルのバベルに極めて近い。サイズはかなり小さいが、精密に描かれている。
ルーラント・サーフェリー「村の略奪」:これもブリューゲルの「嬰児虐殺」によく似た作品。
ヨーハン・ガブリエル・ドッペルマイヤー「最新天文図帳」:ティコ・ブラーエの新星も描かれている天文図。まあ、新星は170年位前に発見されたのだから当たり前か。
ヨハネス・ケプラー「『ルドルフ表』付属の世界地図(複製)」:日本もかろうじて本州と九州? の2島が見える。また、伊豆半島ははっきりと形が見て取れる。
ガリレオ・ガリレイ「天文対話」:これ、印刷とは言え本物だよね。地動説に基づいた太陽系の図が描かれており、木星のガリレオ衛星も見える。
ヤン・ブリューゲル(父)「陶製の花瓶に生けられた小さな花束」:花尽くしで描かれており、コレクターごころを分かっている。
ヤーコプ・フーフナーヘル「花瓶と果物、昆虫」:実に細やかなあたりが、マニア心をくすぐる。
ジュゼッペ・アルチンボルド「ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像」:類似の作品を見ると、いかにアルチンボルドの技巧が素晴らしいかが良く分かる。それにしても、ポスターでメインだったこの1点しかアルチンボルドはないんだね。
アタナシウス・キルヒャー「ノアの箱舟」:箱舟の船室図とその内部にいる動物が描かれている。犬なんかは何種類もいて、さすがに種族で2頭では、犬のバリエーションに説明がつかないと思ったのだろう。
ヤン・ブリューゲル(子)、ヘンドリック・ファン・バーレン「大地と水の寓意」:農作物、海産物が何でもある。メロン、アーティチョークなどの当時の高級輸入品から、バブルを起こしたチューリップまで多彩。
ハンス・フォン・アーヘン「パリスの審判」:さすがに名場面を美しく、うまく描いた作品。
バルトロメウス・スプランガー作のコピー「オリュンポスへと芸術を導く名声」:これはエル・グレコっぽい。
ヨーゼフ・ハインツ(父)「羊飼いの礼拝」:聖母と天使の柔らかい表現から、この画家が相当なテクニシャンであることが分かる。
ぺーテル・ステーフェンス2世「聖アントニウスの誘惑」:小さな化け物大集合で、ヒエロニムス・ボスっぽい。
参考出品「ナトゥラリア(自然物)」:当然、絵画以外にも収集品はあり、これは動物の骨、ダチョウの卵、サンゴ、イッカクの角、亀の甲羅(1m以上ある)など。
フィリップ・ハース「春」「夏」「秋」「冬」:アルチンボルドの画に基づくもの。
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フィリップ・ハース「コロッサス:巨像」。
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作品を見ながら、「〇〇っぽい画風」という感想が多かったのだが、これはおそらく偉い人に「アルチンボルド風に」とか「ボス風ね」と言われたのだろうという気がする。そりゃ、人気のある画風をまねたりするよね。また、これも当然の事だろうが、絵画以外にも工芸品、地図・星図や自然由来のものなど、幅広いコレクションがあり、皇帝の見識の広さを感じた。
さて、展覧会そのものの方だが、最初は混雑しているのかなと思ったが、入ってみると入場時の列が嘘のように快適に見ることができた。これは人数だけの問題ではないような気がする。
私が美術館で展示物を見ていて、一番流れが合わないのはオバチャンである。オバチャンは必ず複数人でやってきて、解説の文字を懇切丁寧に読み、画そのものにはそんなに興味がない。しかし、グループでつまらない感想を述べながら、一番遅い人間に合わせて移動するので、果てしなく遅い。ノロノロしている隙に、前に割り込みされたりして、もうどうしようもない(←偏見があるのは認めます)。
しかしこの展覧会、ルドルフ2世のマッチョな感じのせいか、マニアックな雰囲気のせいか、女性観覧者が非常に少ないのである。一番多いのは、私と相性の良い、男性1人客である。そのためか、人数以上に流れが私の期待にマッチしていたかもしれない。最近では最もストレスなく見ることのできた展覧会であった。
会場を出たところ、Bunkamuraギャラリーで「バーニー・フュークス展」をやっていたので、そちらもちらっと拝見。先日「美の巨人たち」で紹介されていたので、そのビデオ映像も流れていた。タイムリーだな。