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静岡再訪(2) 小林清親展

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まずは昼食を抜かして、駅前にある静岡市美術館で「小林清親展」を見ていこう。

 

「両国雪中」:雪の中の静かな雰囲気が良く出ている。
「今戸有明楼之景」:同じ作品が2点並んでいるのだが、片や色彩が派手。もう片方は地味なのである。
「江戸橋夕暮富士」:手前に人のシルエット、橋げた、松の木を大きく配置し、クラシックな浮世絵のデザインに見える。

「川崎月海」:海に浮かぶ帆船。月の姿はあえて雲に隠し、光だけが見える。
「日本橋夜」:広重の日本橋とはかなり違い、平らな橋に描かれている。車道と人道が分かれており、車道(といっても大八車などが走っているのだが)は左側通行なのが分かる。
「浅草寺年乃市」:境内の中には人がびっしり。夜店も沢山出ているようだ。

「大川冨士見渡」:向こうに小さく富士があるのやら無いのやら。けれんみが少ない。
「虎乃門夕景」:西洋の影響があったのだろうが、妙な遠近法(何点透視なんだ?)が気になる。
「橋場の夕暮」:個別に見ると不思議な形と色を重ねて、自然に見えるのがすごい。

「明治十四年一月廿六日出火 浜町より写両国大火」:珍しく赤・オレンジに茶色や青まで混ぜて炎を表現している。本人は一晩中スケッチをしながら駆け回り、翌朝家に帰ってみると、自分の家が焼けていたのだそうだ。
「両国焼跡」:人がシルエットで描かれ、行き場所を失ってさ迷っているかのようだ。
「猫と提灯」:34度摺り(+落款)なのだそうで、もう版画に見えないような密度である。

「鶏にトンボ」:フルカラー図鑑のような感じ。
「亀戸梅屋敷」:清親の風景、建物はいいのだが、人物はどうも不自然な感じがする。西洋風の妙な写実が気になるのだろうか。
「箱根三枚橋雨」:雨を斜めの白抜きで表現している。

「神田八雲神社暁」:この暁のグラデーションは素晴らしい。
「従箱根山中冨嶽眺望」:電信柱と電線が描かれているのが明治だ。
「武蔵百景之内隅田川より待乳山遠景」:画面手前に巨大な女性を描き、これはけれんみのある構図だ。

「三都三美人」:3人の顔を重ね、目が合計で4つしかない。何故こんなに不気味な美人画にしたのか。
「清親ぽんち 両国ゑこういん」:巨漢の相撲取りの股下を、やせっぽちで小さな力士がかすりもせずに通り過ぎる図。いわゆるマンガである。
「亜細亜の貝産物 団団珍聞513号」:貝の顔をした男女。風俗画か。

「菊ハ菊ともよく改る 当世キク華壇 団団珍聞519号」:「牛屋の跋扈は鰻屋にきく」など、最近の流行を並べたものらしい。
「かいろ遊千艸の働 団団珍聞585号付録」:かえるが西洋風の振る舞いをしている戯画。
「我夜戦砲兵九連城幕営攻撃」:戦争画であるのだが、雨にたたずむ軍人を描き、光の加減に工夫の見られる光線画でもある。

「朝鮮豊島海戦之図」:燃える船。その炎が海岸の岸壁を赤く染めている。
「象図」:薄墨とぼかしを使い、グレーの象を上手く表現している。
「福禄寿と大黒」:マンガチックな二人。がきデカを思い浮かべる。

「鉄道馬車」:日本橋-上野-浅草-日本橋という環状路線があったようだ。
「川中島合戦図屏風」:謙信が一人馬を飛ばし信玄に迫る様子。謙信は華やかな美男、信玄は影武者らしき同じ服の人たちの中であわてず動ぜずという感じか。
「写生帖」:いくつも出品されていたが、そのまま出版すれば売れそうなレベルである。

ロビーでは「ヒトノカタチ、彫刻」という展示をやっており、写真撮影が可能だったので掲示していこう。

津田亜紀子「生成の無垢」。ちょっと怖い。



青木千絵「BODY08-2」。足は床に着いておらず、宙づりになっている作品。



藤原彩人「首像/意識の壺」。3点とも人間の形に始まり、何かに変容していくような作品だ。



見終わったところで、ホテルガーデンスクエア静岡にチェックイン。2泊したが、立地も良く、なかなか快適なホテルであった。

 

残念なのは窓からの眺めだけかな?(全く興味がないが)。



行きたい店が16時半開店なので、少々の休憩の後、すぐに出発だ。

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