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なぜか秋田(9)

昼食が終わり、美術館へ行こう。

■秋田県立美術館「平野政吉コレクションI」。
藤田嗣治「秋田の行事」:秋田にきて、これを見ないのは嘘だろう。縦365センチ、横20メートルを超える画面に、七夕・竿燈・神社・夜店・かまくら・雪だるまに秋田の人々とすべてが盛り込まれている。これは秋田の宝、黙ってみる以外ない。
藤田嗣治「一九○○年」:パリ万博の舞台に、この作品を描いた前年に無くなった奥様、マドレーヌを登場させた作品。印象派を思わせるタッチで、藤田得意の白い肌とは違った印象を受ける。
藤田嗣治「自画像」:和風の部屋にちゃぶ台、その上には和食が並べられている。猫を和服の懐に入れた藤田のやるせない表情。徹底的に和風にこだわった作品だが、何を思って描いたのか。

■同「平野政吉コレクションの精華」。
アントニオ・フォンタネージ「風景」:重々しい風景画。日本の洋画を一望するためには、あってほしい作品だ。
岸田劉生「自j画像(1913)」:22歳ころの自画像。まだアクが少ない。
彫千代「刺青見本図(イニシャル)」:アルファベット1文字~3文字までの組み合わせ見本。綺麗な飾り文字になっている。

佐竹曙山「竹に椿」:秋田藩8代目藩主。秋田蘭画の創始者と言ってもいいだろう。
安田雷洲「危嶂懸泉」:縦に結晶化したような岩から、滝が流れている。しかし、その水も結晶のようであり、水には見えない。
亜欧堂田善「大日本金龍山之図」:浅草は浅草寺だろう。影が書き込まれた洋風の画になっている。

秋田県立美術館はまだ建物ができて新しいようで、非常にスマートなデザインの建物であった。

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喫茶コーナーから見える窓の先は、水をたたえた水面になっている。

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堀の向こうに、かつての県立美術館の建物が見えた。これもクラシックだか、印象的なデザインである。

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次はビルの中にある秋田市立千秋美術館へ。

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■秋田市立千秋美術館「ぼくたちのあそび 岡田謙三と馬場彬」。私の全く知らない抽象画家だ。
岡田謙三「呼吸」:茫洋とした抽象画の中に、漢数字にもみえる「一」の線。一呼吸を表したものか。
馬場彬「回遊儀1」:木の球に描かれた抽象画。どうしても普通の絵画は、画面の縁で想像力が断ち切られる感じがするが、球の表面に描くといつまでも目が止まらなくなる。これ、良いアイディアかも。

■同「秋田蘭画の世界」。年に一度の企画展なのだそうだが、せっかく秋田に来たのだから、これが見られて非常に良かった。
佐竹曙山「岩に牡丹図」:色鮮やかな作品。青の太湖石の奇妙なくねり具合が、印象的。
佐竹曙山「燕子花にナイフ図」:シャープな燕子花の葉に、ナイフを取り合わせるところが面白い。
佐竹曙山「蝦蟇仙人図」:見事に奇怪な蝦蟇仙人を描く。

小田野直武「解体新書」:ワルエルダという人の「解剖学」という本が秋田に伝わっており、そこから図を借りて描いたものらしい。
佐竹曙山「湖山風景図」:ヤン・ブリューゲルの版画が原典になった作品らしい。秋田の芸術愛好ぶりが良くわかる。
佐々木原善「花鳥図」:にぎやかにしてゴージャス。こういう作品があると華やかで楽しい。

佐竹曙山「鵜図」:黒々とただ一匹の鵜が描かれている。

全体的におおらかに楽しく描かれた作品が多く、変な技巧が凝らされていない所に好感が持てた。しかし、何となく秋田の文化度の高さが伝わってくるなあ。

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