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芸術の秋-東京(13) 佳品揃い

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■新国立美術館「チューリッヒ美術館展」。感想「ホドラー展が見たくなる」。



セガンティーニ「淫蕩な女たちへの懲罰」:憂鬱な風景の中、死体と化して漂う女たち。
セガンティーニ「虚栄」:点描というより、絵具の線を埋め込んだような描写。セガンティーにって、こんなにいい画を描くんだ。
モネ「睡蓮の池、夕暮れ」:幅6メートルの巨大作品。まるで「燃える夕焼け」という感じ。

ロダン「殉教の女」:倒れよじれる姿は、本郷新に影響を与えていそう。
セザンヌ「サント=ヴィクトワール山」:本当はどんな山だったのだろう。もしかして写実的に描いてあったりして。
ホドラー「真実、第二ヴァージョン」:布を頭にかぶり前が見えず右往左往する男たちと、それを寄せ付けない真実の女神。ホドラーは思った以上にいいね。これは国立西洋美術館に行って見たくなった人が多いのでは?

ホドラー「日没のマッジア川とモンテ・ヴェリタ」:どこか死の風景に見える。
ホドラー「日没のレマン湖」:淡く不安定な色はムンクに近い感じもする。
ヴァロットン「訪問」:濃密な室内の色彩。陰になる人の顔は不穏なイメージである。

ヴァロットン「日没、ヴィレルヴィル」:オレンジの空と紫の海。黒い海岸が不吉な感じ。
ヴァロットン「アルプス高地、氷河、冠雪の峰々」:硬い氷からトロッととろけ出す氷河。
キルヒナー「小川の流れる森の風景」:水色と紫の樹木。

バルラハ「難民」:前に倒れそうなほどの勢いで歩く男。木彫作品。
ココシュカ「恋人と猫」:過剰に絵具を塗らなければならないという印象を受ける。しかし、荒木飛呂彦はココシュカの影響を受けているのではあるまいか。
ピカソ「ギター、グラス、果物鉢」:どこがどうとは言えないが、これはいいね。

クレー「スーパーチェス」:升目は白・黒・青・赤・紫が混じり、変な駒が3次元チェスに見えるような感じで描かれている。新しいゲームが作れそうだ。
クレー「狩人の木のもとで」:平板に、また木の枝が迷路のように描かれた大木。雲の色の緑・黄色・白もいい。
カンディンスキー「黒い色斑」:音楽を画で表現するのみならず、無音すらも表現している。

シャガール「窓から見えるブレア島」:割と写実だ。
シャガール「パリの上で」:北海道立近代美術館にある「パリの空に花」の暖色版という感じ。
キリコ「塔」:塔を描いただけで、もう何かが変。不安になってくる。直線を主体にきっちり描かれた作品なのだが。

エルンスト「都市の全景」:月に照らされる古代都市か棺桶のようにも見える。手前に植物が細かく描かれているが、小川原修の初期作品のようにシュールな感じを出している。
ダリ「薔薇の頭の女」:女性のポーズがカッコよく、見知らぬ異星の夕暮れの風景のようだ。
タンギー「明日」:海岸で小石や貝、小さな骨が集まって行列を作っている幻想のよう。

飛行機までの時間が余りそうなので、図書コーナーで国宝関連の特集が載っている雑誌を読んで時間をつぶす。そして次は、サントリー美術館だ。

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