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2018年最後の東京(4)

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上野から東京駅に移動。ちょっと気になっていた展覧会を見る。

■東京ステーションギャラリー「吉村芳生 超絶技巧を超えて」。驚きの展覧会だ!
「ドローイング 金網」:金網をプレスした紙の上の跡をなぞって18,000の金網の目を再現。製作日数70日、長さ16m超の驚きの作品。
「A STREET SCENE NO.16」:マス目を10段階に腐食させて風景を描き出すという高度なエッチング作品。
「友達シリーズ65点より」:自分の友達をスナップショット的に似顔絵にしたもの。一瞬、写真を紙にプリントしたのかと思う出来栄え。

「365日の自画像 1981.7.24-1982.7.23」:毎日、自画像を描き続けたというバカ作品。展示室では192点が展示されていた。何しろこの人、365日の自画像を3セット、1000枚の自画像を1セット描いているのだ。
「ジーンズ 下絵(数字)」:マス目を作り、そこに明度を0~9の数字で表したもの。
「ジーンズ」:上記の下絵を元に、機械的に塗り分けていくとジーンズが描き出されるのだ。

「徳地・冬の幻影」:樹木にかかった雪を描いた作品。雪の中に動物などの顔が現れ、妙な心霊写真のような雰囲気も。
「新聞と自画像シリーズ」:新聞の上に自分の顔を描いていくシリーズ。新聞の内容とシンクロしている場合もあり、例えばインフルエンザの記事ではマスクをした自画像、WBC連覇(野球)では喜びの顔を描いている。セコムのキムタクの顔を広告にしたものが載っている号では、自画像もキムタクに寄せてくるという、なかなかおちゃめな人。
「コスモス」:どうやら前期のモノクロ表現に息苦しさを感じスランプになったらしい。2000年代に入って120色の色鉛筆を使い、カラー表現が爆発する。

「タンポポ」:花と綿毛を描いて、綿毛の中に入り込むかのようだ。
「バラ」:散る寸前のバラだろうか。背景の奥行きが素晴らしい。
「ケシ」:展示順としてはこれを一番最初に見たのだが、いきなりのカラフル度合いに驚いた。特に大作の「ケシ」では、自分が小さな生き物としてその世界に入り込むような気持になる。

「未知なる世界からの視点」:菜の花と川面に映る花を描き、それを上下逆にして完成させた奇妙な作品。
「コスモス(絶筆)」:画面全体の右5分の1程が真っ白で残された未完成の作品。しかも、絵が描いてある部分でも10センチほどの一コマが白く残されている。まるでプリンタのトナーが切れ、そこで印刷が打ち切られたかのような作品だ。

噂には聞いていたが、本当に驚かされた。おそらく今年度ナンバーワンと言っていい、素晴らしい展覧会だった。アナログを追及した極限でデジタルにたどり着いたというか、そういう問題ではない独自の世界というか、モノの見方を考え直させるほどのインパクトを受けた。これは私においては、伊藤若冲の「動植綵絵」を初めて見て以来のことだ。



歩いて皇居方面へ。

■三の丸尚蔵館「明治美術の一断面-研ぎ澄まされた技と美」。
濤川惣助「七宝桃色暈花瓶」:無線七宝で、粒子状の釉薬を使いながら見事にムラの無いグラデーションを生み出している。
濤川惣助「七宝寰宇無双額図」:これが富士山だ!
12代沈壽官「菊貼付花瓶」:立体的な花文様を貼り付けすぎて、フナムシでもいるかのような悪趣味作品。

高橋由一「栗子山隧道図」:大きくてゴツイ画。クールベの画風を思わせる。
佐久間文吾「和気清麻呂奏神教図」:洋画が伝わってさして時も過ぎぬうちに、ここまでのテクニックを持つ人がいる。特に服装の質感は素晴らしい。



疲れてきた。ホテルにいったん戻り、水分補給をする。


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